S.Arendt

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さり…さり…とペン先が紙の上をはしる音

大好きな祖父の膝にのり、仕事をする手を眺めた時間

ほんのり珈琲の匂いが香った

それを飲みきればやわらかなダージリンの
ファーストフラッシュを小さな花飾りがついたティーセットで用意する

カチ、コチ、とゆったり時間を刻む時計の音や下の階で祖母がカチャ、カチャンと家事をする音も加わって…

まるであたたかな音を奏でるトリオだ

祖父の書き出すカリグラフィーが何よりも好きだった

時々思い出しては真似をして午後の夕暮れ差し込む部屋で好きな詩などを書き出す

窓から部屋へ入る風は秋の暮れを知らせた

10/30/2024, 12:16:39 PM