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失恋

え?私の失恋の話が聞きたい…?
…しょうがないなぁ!でも、面白くないと思うよ。

恋を自覚したのは、小学生ぐらいからかな。ホントはもっと前からだったかもしれないけど。
込み上げるこの気持ちの正体に気がつくまで、そんなに時間は掛からなかったことだけは確かかな?

大好きだった。最初から兄弟だったんじゃないかなって思うぐらいには、私は〈君〉と一体化してた。すべてに共感した。すべてが美しかった。ありのままの〈君〉が好きで。尊い〈君〉が好きで。
別に天使がそう仕向けた訳ではなく、ヒトは何かを愛する運命で。私が〈君〉を愛したのは必然だった。
だからこそ期待してしまう。私が愛した分だけ、〈君〉から愛が返ってくると思った。
〈君〉はもっと未来のことを考えていると思った。
〈君〉と過ごすとき、私は〈君〉の隠された悪を注意深く拒まなければならなくなった。私は〈君〉の特別なんかじゃなくて、その他大勢のうちの一人。〈君〉はすべてを見ている。私を見ている。けれど、本当は誰も見ていない。天使は誰も〈君〉へと導かない。だから私は、勝手に恋をして勝手に失恋した。

邪魔だったのなら、
生まれた時に祝福しなくてよかったのに。
〈君〉にとって害だったのなら、
早く切り捨てて欲しいのに。

たとえ私が〈君〉を嫌っても
〈君〉から離れることも、〈君〉の瞳から逃れることも、今はできない。

何故なら〈君〉は
私達の死を、大地の古い秩序に繰り入れるから。

何故なら私は
〈君〉の無意識下にある循環の一部に過ぎないのだから。

…ほら、面白くない!!

6/3/2024, 11:37:10 PM