とぅるとぅるな酢飯

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さよならを言う前に。私は考えた。今までの隠し事を打ち明けるか、このまま抱えて偽りのハッピーエンドとして幕を閉じるか。
抱えたままでいればその嘘は不安は、時をかさねるごとに増えていって。流れていくことのないそれがこぼれ落ちるのを拒んで。いつかは壊れてしまうだろう。
彼女は優しくてこの抱えているものを全て受け入れてくれる。救おうとしてくれる。そんな優しさがある。それを知っているから。信頼があるからこそ彼女に重いものを抱えさせることなんて出来ない。私は彼女の綺麗な楽しい思い出として消えていきたい。
私が壊れたら。沈んでいったことが伝わってしまったなら。彼女はどんな顔をするのだろうか。きっと救えなかったことを後悔する。彼女にとって一番苦しい結末だ。私は傲慢だ。自分の最後だけを考えている。
目の前に広がる海に足を浸した船に乗った。日差しが波の美しさをより引き立たせている。
さよならを言う前に。私は...「楽しかった」と綺麗に隠した。

8/21/2023, 8:06:18 AM