彼とわたしと

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今日は、日記のような思い出作りではなく、全く新しい物語を綴ろうと思う。拙い部分があると思うけれども、しがない女子高生のお話しだと思って、最後まで一緒に物語を終えていただけると嬉しいです。

“赤い糸”
可愛いとは、なんだろう?大切とは、幸せとは、愛おしいとは、一体なんなのだろう?その言葉の意味ではなく、人はどういうときにそう思えるのだろう?

愛玩動物を見ている時もまた可愛いと思うが、愛おしいとまでは思わない。家族と時間を共にしている時もまた、これが幸せで大切な時間なのだろうと実感するが、この時が愛おしいとは、まだ思えない。私はどこか欠けていて、全てにおいて未熟なのだろう。そして私は一体、なんなのだろう?アイデンティティが声高に叫ばれるこの社会の中、どうやって自分を確立していけば良いのだろう。鬱状態に陥った今、なにも心躍ることが思いつかない。気付けば薬の袋が散らばっている。誰か私の未来を照らしてはくれないものか。わたしの赤い糸を導き、未来を与えてくれないものか。

気付けば日は暮れて、夕日と数日前に用意した縄が私を招く。治らない自傷行為の跡から滲む血、これはいつ治るのだろう。けれど、このおかげで何日間か生き延びられたのだから、これこそ私の良い未来だったのかもしれない。

その未来というのは、血に塗れた腕で力一杯に縄を結び、それを首にかけること。力を込めたせいで傷口が割れてしまい、綺麗だったはずの縄にまで血が着いてしまった。私の赤い糸の相手は、天使だったのかもしれない。汚い人間達よりもよっぽど眩しい、純白の天使。薬を過剰摂取できたおかげで、暖かい縄の中でふっと力が抜ける。この人生の中で1番の過ちを挙げるとすれば、天使が恵んでくれた赤い糸を、紅い糸に汚してしまったことだろう。

6/30/2024, 11:30:21 AM