白樺

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 野田東高校の三棟四階廊下には、女の絵が飾られている。真っ直ぐな黒く、宝石のような髪に紅い唇で虚ろな顔をしている女だ。
 私はこの絵に一年前、惚れたのだ。
 この高校は、総合学科で様々な教室が存在する。そのため、生徒によっては三棟四階に用事がない。私もその一人であった。三棟四階は実習室で、何故そこに女の絵画が飾ってあるのか学校の不思議の一つだ。
 偶然、先生を探しているとき三棟四階まで行きこの絵を初めて直接見たのが始まりだった。
 今では、部活終わりの遅い時間まで女の絵画まで行き、絵を見て満足して帰ることを繰り返している。
 しかし私は最近は、周りに誰もいないことを確認して絵を褒めている。友達に言えば間違いなくキチガイだと言われるかもしれないが、既に習慣となり始めている。もう止めることはできない。
 そんなことを思って、気がついたら卒業式であった。
 今日が、高校生最後の日。
 式が終わったあと、友達の声を無視して私は三棟四階まで駆け上がった。ついたときには、足がヘロヘロで息が切れていて春なのに汗をかいた。
 最後にこの絵に言わなくてはいけない。
 「ずっと綺麗だった!愛してる!」
 野田東高校卒業式、三棟四階廊下で私は愛を叫んだ。

5/11/2024, 3:12:13 PM