あの日の温もり 芽吹きのとき 誰かしら? ひらり です。
遅れましたが、これからも頑張ります。
あの日の温もり
「ニャー」
僕が家にいると、僕の体にピタリとくっついてくる、我が家のかわいい猫。
家の中を移動するとあとをついてくる、ホントにかわいい子だけれど、僕に懐くまで大変だった。
近づけば逃げて行くし、撫でようとするとシャーと怒る。
それでも仲良くなりたくて、諦めず、根気良く接していたら、だんだん気を許してくれ、ついには、抱っこすることができた。
この先、何度抱っこしたとしても、初めて抱っこできたあの日の温もりは、忘れることはないだろう。
芽吹きのとき
「はぁ〜、ダルい」
日中も寒い、2月中旬。こたつに入り、ダラダラしていると
「ホントに寒いね。もう動きたくないよ」
洗濯物を終えたキミが、こたつに入ってくる。
「早く温かくなってほしいね」
こたつにうつ伏せになり、ため息を吐くと
「そうだね。でも今頃って、草木が芽を出す芽吹きのときでしょ?温かくなるまでもう少しなんじゃない?」
もうちょっとの我慢だね。と、キミは笑う。
「芽吹きのとき…か。じゃあ僕たちも温かくなるときに備えて、今は充電期間。ってことで、のんびりしようか」
「うん、そうしよう」
キミと一緒に、こたつでのんびりと過ごすのだった。
誰かしら?
「ピンポーン」
チャイムが鳴り
「誰かしら?」
と、玄関のドアを開けると
「こんにちは」
訪ねて来たのはお隣さんで。
「いただきものなんですが、お裾分けに」
「ありがとうございます。ごちそうさまです」
有り難く、差し出された箱を受け取り、ドアを閉める。
「何だろう?」
部屋に戻り、受け取った箱を開けてみると
「あ、桜餅」
顔を出したのは、鮮やかなピンク色の桜餅。
「うれしい。早速いただいちゃおう」
箱をテーブルに置き、ウキウキ気分でお茶を用意する。
「ん、美味しい」
お隣さんに春を分けてもらい、笑顔の花が咲いたのでした。
ひらり
ひらりひらりと空を舞う桜の花びら。
そよ風に吹かれ、風と遊んでいるかのように、あちこちに舞っては地上へ降りていく。
「…キレイ」
桜の木を見上げ、風に揺れる木々を見つめる。
「葉桜になってしまう前に、ゆっくり見に来たいな」
仕事に向かう途中、もらった少しの癒し。
今度はゆっくり見に来ると決め、名残惜しい気持ちを風に溶かし、仕事に向かうのだった。
3/4/2025, 8:49:01 AM