もも

Open App

『冬休み』

僕の住んでるアパートの大家さんは可愛い物好きで、イベント事が好きな人だ。
たまに羊のぬいぐるみを買ってきてる姿を見るし、季節事に暇な住民を巻き込んで何かをやっている。
今年の夏は竹が手に入ったからと皆で流しそうめんをした。
ぶっきらぼうだけど、とってもいい人なのに皆怖いって大家さんを遠ざける。

だけど僕は知ってるんだ。

昨日から雪も降っていてとても寒い冬休みのある日。
真っ白な世界の中、大柄な大家さんが何かをしてるのが部屋から見えた。雪掻きかな?なんて思ってたんだけとスコップは持ってないし、雪が積もる地面にしゃがみこんでるから違うってわかってしばらく見ていたら、雪だまを転がしているみたいだった。
無表情で小さな雪だまをだんだん大きくしていく大家さんが、雪だるまを作ってるんだってわかればその光景が凄い可愛くて、可笑しくてついつい笑ってしまう。
だから、思わず温かい格好をして僕も外に出てた。

「僕も一緒に作らせて下さい!」

あんまり話したことのない大家さんだけど、僕が声を掛ければ驚いた様子を見せながら

「いいよ。」

なんて笑ってくれたから、やっぱり大家さんはいい人だと思う。
小学生ぶりくらいに作った雪だるまは、二人で作ったからとても大きくて、可愛い物になった。

「可愛いね。付き合ってくれてありがとう」

やっぱり無表情なんだけど、雪だるまを眺める大家さんはどこか誇らしげで嬉しそうに見えて僕も嬉しい。
これから怖がらずに大家さんに話しかけていいのかもしれない。

今年の僕の冬休みは意外な人の意外な一面が知れた嬉しい冬休みになった。

12/28/2023, 10:54:25 AM