未知亜

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 最初のキスを交わしたときにわかった。別れがいまはじまったと。
「どうしたの?」
 涙をこぼす私にあなたは問いかけた。腕の力を緩めて、やさしく頬を撫でて。
 なにがどう違ったのか私にはわからない。なのに、違ってしまったことだけははっきりとわかった。心の奥にささやきが舞い降りる。そんな感じだった。
 説明できる言葉はない。木洩れ日の輝きや、風の香りや、あなたのぬくもりや、フィルムのように焼き付いて、この先何度も思い出しちゃうんだろうなと思うだけ。
 違う場所に来てしまったねとささやかれ、私は夢から引き戻される。引き戻されてやっと、これは夢だったのだと私は知る。
 大事なことばかり、いつも言葉にならない。

『ささやき』
 

4/22/2025, 9:22:57 AM