モクレン

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『泡になりたい』

暑い。
今朝の天気予報では、最高気温は38℃の予報だった
経験したことのない暑さ、と気象予報士は言っていた。
実際はどうだったのだろう?経験したことは…。
いや、そんなことはどうでもいい。

とにかく暑い。
もう太陽はとっくに沈んでいるのに暑い。
仕事から帰ってきたときに涼しい部屋にするために、エアコンのタイマーをセットしておいた。
玄関のドアを開けるとひんやりとした冷気が出迎えてくれる。

一目散に冷蔵庫に行きたいが、ここはもう少し我慢。コンビニで買ったつまみをテーブルに置き、手洗いうがいをしたら部屋着に着替える。
と言ってもシャワーを浴びるのは後回しで、スーツのズボンをハーフパンツにはきかえる程度。とても人に見せられる格好ではない。

缶ビールを取り出す。冷凍庫でキンキンに冷やしておいたジョッキに慎重に注ぐ。

よし。自分好みのビールと泡、7:3の配分。
白っぽくなったジョッキから見える黄色い液体と決め細やかな泡。美しい。

意識を家モードに切り替え、一気にビールを流し込む。冷たい液体が食道から胃を通るのがわかる。
ひんやりとした苦味が心地よい。

はーっ。最高。今日もお疲れ様。
天井を見上げ上唇についた泡を舐めた。



8/5/2025, 1:52:54 PM