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【かくされた手紙】


今でも覚えている
6年生のとき、卒業が見えてきたこの時期に
親友が私立中学にいくことがわかった
ホームルームに担任から告げられた
私立を受験するなんて珍しいと言われる田舎だった
休み時間、私は彼女のもとへ行き
「聞いてないよぉ」と言った
「言ってないもん」と彼女はにっこりと笑った
言葉がでなかった
その笑顔の意味するものが
わかったような、わからなかったような、
わかりたくなかったような
そんな気持ちだった

どうやら彼女が私のことをうとましく感じていたらしいと後になって知った
共通の友人から聞かされた
その子は私に腕を組もうとした
する、と私はその腕を抜いた

嫌われてたんだ 知らなかった
恥ずかしい、間抜けに見えてただろうな
私もきらいって言っておけばよかった
だけど楽しそうだったのにな
うそって、あんなふうにつくものなんだな
そんな気持ちだった
なんか、…つまんないの

今なら、あの子の笑顔にたくさんの
ひとことでは言い表せない思いが詰まっていたことがわかる
ほんとうに、ここには書けないほどの思いが

言いたいことを黙っていられるとか、
なんでも冷静に受けながせるとか、
美味しい店をたくさん知ってるとか
大人ってそういうことじゃないって思うのよ
経験と時間は、エスカレーターみたいに
ひとを大人のステージに連れていくけど
大人ってそういうことじゃないって思う
違ったらごめん、
そのときは自分で、手紙を探して

2/3/2025, 3:28:49 AM