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東京、二十一時。今すぐ倒れ、眠りこけたい衝動を抑え、いつもの帰路を辿る。最近は仕事がやけに忙しく、愛しい彼女と一緒に居る機会は減る一方だ。
彼女の朝は早い為、人一倍早く寝ることが多い。それに比べ、私は朝は少し余裕があるが、帰宅は人一倍遅いのだ。そんな私と彼女が会えたとしてもどちらかが眠っている場合が殆どなのだ。きっとそれは今日も。
ただでさえ疲れているのに、そんな事を考えていると余計憂鬱になってくる。明日も仕事なのだ。そんな風に気負っていては明日の身体に響く。
気持ちを切り替える為に深呼吸をして歩き出そうとすると、鞄の奥底からバイブ音が響く。仕事関連かと思い、恐る恐る音の主を取り出してみると、そこに表示されていたのは彼女からのLINEの通知だった。今までこのような事はなかったので、内容を慣れない指使いで確認する。
そこに綴られていたのは幾つかのメッセージと写真が1枚。
『お仕事お疲れ様です。多分、今日も会えないですよね。』
『今日の夕飯の余りです。よかったら食べてください。』
『お気をつけて帰ってきてくださいね。』
その下に私の好物、肉じゃがが美味しそうに盛り付けられている写真が載せられていた。
きっと、仕事で疲れている私を労る為に作ってくれたのだろう。そう思うと自然と口元がが綻ぶ。
昔から無愛想にも程がある私の周りにはあまり、人が集まってこなかった。そんな私に人の優しさを教えてくれた貴女。たった数十文字のメッセージで私に力をくれた貴女。愛しい人からのLINEとは、こんなにも、暖かく、喜ばしいものなのですね。
嗚呼、貴女にも感じて欲しい。この感情を。そう思い、私は彼女にメッセージを送り、先程よりも軽い足取りで帰路についた。

9/15/2022, 4:49:25 PM