霧夜

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弱い姿を、あまり見せたくないから

余計な心配を、掛けたくないから

...なのに、なんでだろう

そんな、私の意思とは反して

まるで壊れたダムの様に、目からは涙が溢れてくるの

...嗚呼、私って弱いなぁ...

---二作目---

昔から、人前で泣くことが怖かった。
辛くて、涙が溢れそうになる事もあったけれど。
それでも、俺は泣きたくなかった。

頼れる人は、居た。
けれど、頼りたくはなかった。
迷惑を掛けると、そう思ったから。

...一度だけ、あいつの前で泣いてしまったことがあった。
辛くて、苦しくて、我慢できなくて。
泣かねぇよ、っと言っていたのに。
...嗚呼、嫌われる、幻滅される。
そう、思っていたのに...あいつは、俺を抱き締めてくれた。
優しく、でもしっかりと。

なんだか、それにすごく安心してしまったのか、沢山泣いてしまった。
声もあげて、みっともなく。

「...泣きたい時は、素直に泣けばいい。辛いなら、俺を頼ってくれ。...一人で全部抱え込む事は...もう、しないでくれ」

なのに、こいつはそう言ってくれた。
辛そうに、絞り出すような声で。
...この時、俺はやっと理解したんだ。
泣かない事で...俺はあいつに、余計な心配をかけていた事を。

それを機に、俺はあいつに弱音を吐いたり、偶に泣いてしまうようになった。
でも、どんな時でも、あいつは俺を優しく受け止めてくれた。

...泣いて、甘える事も、していいんだな...そう、思えたんだ。

#泣かないよ
243作目

3/17/2024, 10:55:03 AM