「絶対後悔するから」
あの日、あいつは俺に呪詛をかけて消えた。
俺は気にしちゃいなかった。
後悔なんてするかよ。
吐き捨てて、さっさと田舎町を抜け出した。
上京して知った。
己の甘さ。弱さ。
痛いほどに突きつけられた。
才能なんてなかった。
もがくほど溺れていくような感覚に取り憑かれた。
後悔なんてしてたまるか。
自分に言い聞かせる日々。
これは自分で選んだ道だ。
振り返っていちゃ成功なんてあり得ねえ。
今の自分を否定するなんて、できるわけがねえ。
最近、彼女が夢に出てくるようになった。
絶対後悔するから。
うるせえよ。
そう言って目が覚める。
瞼の奥、堕ちた未来の俺が後悔している。
5/15/2023, 3:59:07 PM