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(優しさのお洗濯)
私はどんなものも洗濯する洗濯屋。今日もお仕事をしに外へ出掛けます。
外はあいにくの雨。
水溜まりに入る「ポチャン」という音。どうやら依頼主はそこにいるようだ。
「こんにちは」
私がそう言うとびしょ濡れの少女は振り向いた。
「辛い………辛い」
そんな言葉を繰り返す少女。
「辛かったんだね。そんな辛さを私がお洗濯てあげる」
そう言い私は作業に取り掛かった。
優しさの石鹸で、優しさのタオルで、優しく話を聞きながら丁寧に拭いた。
そうすると、少女は自然に笑顔になった。いつものまにか天気も雨から晴天へと変わっている。
笑顔になった少女は私へ言った。
「ありがと。心お洗濯のアライグマさん!」
私は少し照れ臭くなった。

1/28/2023, 4:10:56 AM