きつね

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先日とても心が沈み何も手につかなかったので、どうせこのまま沈むのならば、と好きな香りの入浴剤を入れた湯船に沈むことにしました。

普段はシャワーで済ませてしまうので、お風呂の中でひとりぼんやりとする時間は格別なものでした。そして、先ほどはどうしてあんなに沈んでいたのだろうと自分の心へ目を巡らせたところ、それにふと気がつきました。

心の中の暗いところで、大人になった『私』が、不出来な『わたし』をずっと攻撃しているのです。あの時ああすればよかったのに、どうしていつも出来ないの、と次々に責め立てて、『わたし』が打ちのめされていたのです。

これに気がつくのに、何十年かかったでしょう。自分の心という、一番身近なところで起きていることなのに、やっと今気がついたのです。

ふたりとも、同じわたしなのです。だからこそ、いつまでも理想に届かない不出来な『わたし』を腹立たしく思ったのでしょう。わかります。同じわたしですから。でも不出来な『わたし』も、小さくとも出来たことがあったのです。それを『私』に、ただ目を向けてほしかったのです。

わたしは褒め言葉をめいっぱい口にしました。そうすると、『私』は『わたし』を受け入れて、よく頑張った、と認めました。そうしたら、わたしの目からぼろぼろと、次々に、涙がこぼれていきました。

二人ぼっちから友達になる瞬間を、見届けたのでした。

3/21/2024, 12:50:05 PM