「夢見る少女のように」
幼かった私の将来の夢はプリキュアになることだった。
早起きは苦手だったけど、日曜日だけは誰よりも早くベッドから出て、夢中になってテレビを見ていた。
そんな私は今、夢も希望もなくごく普通のありふれたOLになっている。あのころの憧れは一体どこに行ったのだろうか。
スーツを着てパンプスを履き、浮かない顔の人間ばかりの中、駅を歩く。
階段を上がっていると、重そうな荷物を持ったおばあさんが見えた。思わず声をかけ、代わりに荷物を持って支えながら一緒に登る。
プリキュアの夢は諦めても、正義感はまだ健在だ。
すると、それを見ていたらしき小学生の男の子が『お姉さんかっこいいね!』と目をきらきらさせながら言っていた。私が驚いていると、おばあさんが男の子に向かって『あなたもお姉さんみたいなかっこいい大人になるんだよ』と微笑んだ。
その言葉を聞いて、はっとした。
世界を救えなくても、
大勢からの感謝を得られなくても、
ささやかながら人を助けることが私にもできる。
私も誰かのプリキュアになれるのだ。
おばあさんと男の子の背中を見送り、私も歩き出す。
夢も捨てたもんじゃないな、なんて思いながら歩みを進める彼女の影は、まるで少女のように軽やかだった。
6/7/2025, 1:14:14 PM