Ryu

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夜空を見上げる。
もし、この瞬間に地球が爆発して木っ端微塵になったとしても、見上げるあの星達にとっては微風程度の影響もないのだろう。
夜空の星がひとつふたつ消えても気付かないように。
ましてや、地球上のどこかひとつの国が滅びたとしても、あの星々には何の音沙汰もない。
地球の外見すら変わらない。
ましてや、一人の人間がこの世から消えたとて、きっとそれは、我々にとっての微生物以下の存在なのではないだろうか。
虚しい。
大切な人を失ったら、立ち直れないほどに打ちひしがれるのに。
この人生を終わらせたくないと、生命果てるまで抗い続けるのに。

だが、ちっぽけだけど、尊い。
尊い存在になれたんだ、人類は。
知能と感情。
このふたつを武器に、世の理に挑み続けた結果、他のどんな動物達よりも高く、強い存在になれた。
星がひとつ消えるよりも、あなたがいなくなることが苦しい、そう誰かに言ってもらえるほどに。
だから私は今夜も、胸を張って夜空を見上げる。

きらめく星のように輝いて、いつか燃え尽きて消滅してしまう日まで、誰かの心の支えとなり、我が身を愛し続けよう。
星よりもちっぽけで、宇宙よりも偉大な存在であることに誇りを持って。

3/11/2025, 3:15:44 PM