三羽ゆうが

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会社をクビになる人。
明日電車を乗り過ごす人。
学校で起こる不祥事。

全部分かってしまう自分はこの世界を面白いと感じられない。

「ここに存在している限り、面白いという感情は諦めた方がいいわ」

「たかが100年違うだけでまた先輩ごっこですか」

「センパイ、なんて言う概念面白いでしょう?」

「面白いっていう感情は諦めた方がいいんじゃなかったんですか」

「それとこれとは別よ」

この世界に不満がある訳でもない。かと言って満足している訳でもない。嫌な事があったとか、良い事があったとか、そういう次元では無い。

「とりあえず笑顔でいることが大事らしいわよ」

「……何のために」

「そんなの知らないわよ」

「…………はぁ」

「神様だけが知ってる、ってやつじゃないの?」

「……僕ら神様ですけど」

「そんなの知らないわよ」

自分の返答が気に食わなかったのか、つまらなそうにヒラヒラとどこかへ消えていった。

神様だけが知っている、なんてものはない。僕らも分からないのに。勝手に頼られて、勝手に願われて、勝手に僕らのせいにされる。

それが僕らの役目と言ったらそこまでだし、僕らを生み出したのは彼らの欲望や願望だ。縋るものがないと生きていけないのだろう?




……僕らだけが、神様だけが知っているよ。ほら、君の願いを言ってごらん。


『神様だけが知っている』

7/4/2024, 10:09:07 AM