とらた とらお

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私が知っていること
体感していることを
言葉に翻訳して説明するのは難しい

その一言一言は
1面しか表してくれない
球に近い多面体のたった1面だ

そもそも球なんて単純な形じゃない
複雑に入り組んだ知恵の輪が目の前にある
これを言葉だけで説明して
正しい形を相手に伝えられる人間が
どれだけいるだろうか?

同じ知恵の輪(前提)を見ている者同士は
説明の言葉にうんうんと頷けるが
知恵の輪を見ていない者は
全く違う形を思い浮かべていくだろう

言葉を尽くせなかったり
途中で説明を止めれば
相手は全く違う形の知恵の輪のまま止まり
最悪なことにその知恵の輪が
「相手が見ている知恵の輪だ」と確定させる

言葉だけでなく絵も書けばいいかもしれない。
でも、言葉が紡げず説明が難しい人がいるように、誰もが正確に絵を描くことが出来るわけではない。

そして、これが体感していることの説明となると、さらに難しくなるわけだ。
視覚でも聴覚でも触覚でも味覚でも嗅覚でもないものを、どのように伝えたらよいのか。

何かしらに喩えて伝えようにも喩えがない。
たまたま喩えを見つけたと思っても、喩えに使った物事に対する、お互いの着目ポイントが異なったりズレているから、同じ経験をしない限り伝わらない。
翻訳失敗というわけだ。

人それぞれの心の内は大空のよう。
ただし、目の前に広がっている空だけでなく
この地球全体に同時に起こっている空。
そう、「大空」だ。

雲の形はそれぞれ違い、複雑に絡み
空の色も一色ではない
晴れ渡っている陰で雨が降っていることもある
同じ晴れでも澄んで星が綺麗な夜空もあれば
霞んで綺麗に見通せない夜空もあるだろう

人に見せている空なんて一面で
見せていない空の方が膨大にあるのだ

自分がそうだというのなら
相手もそうなんだと思い
相手の大空に意識を向けることが
お互いのために肝要だろう

12/22/2024, 8:49:59 AM