それは信頼の証だったのだろう。
必ずなんとかしてくれるという絶対の信頼。
「どうすればいいの?」
それに俺が応えると、アイツは素直に従ってみせた。
どんな指示も命令も必ず完遂して「次は」と問いかける姿は忠実な犬を思わせた。
どれだけの年月そんな日々が続いただろう。
やがて俺は王になった。
変わらずアイツは隣で尋ねる。どうすればいいと。
かつて信頼だったそれは約束となり誓いとなり、終いには脅迫で呪いになった。
かつて同じ家で過ごした家族も、同じ飯を食った仲間も、苦言を呈した部下ももういない。
全てアイツが奪った。俺が奪わせた。
「どうすればいい?」
俺が聞きたい。もう誰にも聞くことはできないけど。だから。
「俺を殺してお前も死んでくれ」
真っ赤な視界に最後に映ったのは、幼い頃以来に見たアイツの天使のような微笑み。そして、
「ありがとう」
11/22/2023, 9:43:27 AM