途中書きです。すみません。
テーマの「日の出」って初日の出のことだと思うんですけど、冬山登山はしたことがないので初日の出じゃなくて日の出を書きます。
「日の出」
ここ、どこだっけ?
普段より低い天井。
辺りはまだ真っ暗。
「日の出、見に行くよ」
そうか、山小屋だ。
一泊二日の山行で。
今日は二日目の朝。
「私、行かない」
アウトドア好きの父は小さい頃からいろいろな場所に連れて行ってくれた。
その中でも特に登山の割合が大きく、星空や日の出は何回も見てきた。
星空は季節や時間帯、天候によって見えるものが変わってくるし、一番良かったときはたくさん見えすぎて、もはやどこに何の星座があるのかわからないくらい眩しくて綺麗だ。
でも日の出は毎回同じに見える。
天候が雨だともちろん見えないけど、晴れと曇りはそう変わらない。
だんだんと東の方から虹みたいに空の色が暗い色から明るい色へ変わり、その後太陽が雲海や山の向こう側からじわじわと出てくる。
場所は違うし景色も違うけど、太陽は同じ。
太陽が出てくるまでにも時間がかかるし、太陽が完全に姿を現すまではその間ずっと太陽を見つめているせいでとても長く感じる。
しかも太陽は直接見てはいけないのだ。
日の出はもう十分見たから、今はまだ寝ていたい。
私が断ると父はちょっとしゅんとしたように悲しげに笑いながら「まあ、そう言わず」と言った。
私は父のしゅんとした態度に弱く、今回も「んー、じゃあ見に行く」と折れた。
前日にある程度準備してあったので、ヘッドランプをつけて、靴下を履いたら完了だ。
周りのまだ寝ている人たちを起こさないように静かに移動し、山靴の紐をきつく結ぶ。
外はやっぱりまだ真っ暗だったからヘッドランプを一番明るい光にする。
頬を撫でる空気が冷たい。
地上は猛暑日が続いているのに、ここは秋とか冬くらいの寒さだ。
「山頂まで行くんだよね?」
「そうだよ」
この山小屋は9合目くらいだから、山頂までは少しある。
山頂までは昨日1回登ったから道はしっかりと覚えていた。
「ガスってるから日の出は見えないんじゃない?」
「でも今日は曇り後晴れ予報だし、ちょうど日の出の時間帯に晴れそうなんだよ」
会話しつつ歩き続け、山頂に着いた。
曇りにも関わらず、山頂にはすでに多くの人が日の出を今か今かと待っていた。
曇ってるせいで視界が悪いけど、風の流れが速く、時々雲が流れ去って空が見える。
これは日の出、見れるかも。
でも予想とは違い、完全に晴れきらずに少し晴れては曇ることを繰り返した。
そろそろ日の出の時間帯だけど、と父は少し残念な様子で言う。
あー、こりゃあ見えないね、と周りの登山者も諦めたように言った。
ちょうどその時だった。
「あ、見えた」
霧が晴れて太陽が山の向こう側から現れる。
1/3/2025, 11:25:49 AM