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柘榴の実が結ぶころ



あの日の選択を悔いてはいない。

それによって吾子は素晴らしい息子に育った。
一度として母親の振る舞いが許されなくても
見守る事が出来たのはヨウの計らいだ。

「名を呼べぬあれがユエと名付けられたのは何の因果か」

兄弟として陽と月の名を持つ二人がその実、親子である事を知っている者は両手の指程も居ない。

太陽のようにこの国を照らす帝とその影のような皇弟

その関係を明らかにする機会は永遠に失われてしまった。
皇后の男児が存在する今、そんなことを行えばこの国は内乱で滅ぶ。

一つ光明があるとすれば、吾子の隣に一番の理解者がいることだ。

『後悔しないように譲歩してもらうつもりです』

薬屋の娘はそう言いきった。
自分には出来なかった理想に向ける強い眼差し。
きっと同じ轍は踏まないだろう。
その事が嬉しくもあり寂しくもあるが、明るい未来を目指して前を向く若い二人に幸有れと切に願う。


お題『太陽のような』

2/23/2024, 6:23:03 AM