吾輩には名前が無いのである。

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好きという感情がいまいちピンとこない。

足が早いから。
クラスの人気者だから。
頭がいいから。

みんなそんな理由で人を好きになる。

だけどその日、私は、
窓際の席で静かに本を読む君に心惹かれた。

理由は分からない。

ただ、家に帰ってからも目にかかる前髪を鬱陶しそうに手で払いながらひたすら本を読む姿を何度も思い出していた。


今になってわかる気がする。これはきっと、私の〝初恋〟だったんだろう。

5/7/2022, 12:07:18 PM