【もう二度と】
出逢うことはないと思っていたの。
なのに-。
「先輩!今日からお世話になります!」
「後輩くん…図書室では静かに」
「すんません!」
「もう…言ったそばから」
「えへへ」
彼は私の中学時代の後輩。
まさか高校生になってまで彼が後輩になるなんて思いもしなかった。
「先輩、これはどこっすか?」
「ああ、それはあっちの棚」
「これは?」
「それはこっち」
そうこうして月日が経って彼も少しずつだけど仕事を覚えて、少しは図書委員らしくなったかな。
「先輩?」
「!?」
「どうしたんすか、ぼーっとして?
まさか具合でも悪いんすか!?」
「う、ううん。大丈夫だから離れ…っ」
思ったより後輩の彼との距離が近くて私は脚立の上から落ちそうになる。
「あぶないっ!?」
「あっ」
そう言うかいなか私は足を踏み外した。
「(倒れるっ!?)」
そう覚悟をして目を閉じた。
が。
「あれ…痛く、ない?」
私は脚立から落ちたのに全く痛くなかった。
その代わり。
「いててっ…先輩?
怪我とかしなかった?」
「あっ…!?」
私のお尻の下敷きに後輩くんはされていた。
「ご、ごめんなさっ…!今退け…っ」
「いいよ」
「えっ…?」
私は急いで退けようとしたが、下から腕が伸びてきて私の体を抱き込んだ。
「先輩、俺先輩が好き」
「…!?」
「この高校に入ったのも先輩に会いたかったからだよ」
「どうして…?」
「先輩はずっと俺の憧れだったんだ」
「!?」
「ねえ、先輩?
少しは俺の事、男として意識してくれる?」
そう言って後輩くんの彼は悪戯っ子のような笑顔で私を見上げたのだった。
3/24/2025, 10:59:09 AM