苦しみの中で、歩みを探す方法を見つけよう。
苦しくとも道はある。
友よ、泣きわめくな。
それはきっと、後悔に繋がるのだから。
片足を膝について、友は言う。
「私はもうついていけない」と。
私は肩を貸す。
彼の腹の銃創は、滴り落ちる血で、包帯を濡らした。
見れば明らかだった。
彼は、戦死を望んでいなかった。
荒廃した土地で、散弾銃の音が鳴り響く。
私は土嚢を壁にして、ただ静かにその音を聞いていた。
何発かが、私の首元を通り過ぎて行った。
支払いの済んでいない、パブのツケがあるのを、こんな時分になって、思い出していた。
病院へ着けば、そこは中立地帯だから、敵の攻撃から逃れられる。
それも頭にあったし、とにかく、彼の容態が心配だった。
「もう、置いていけ」
と、彼は二度、そう言った。
だが、私は諦めていなかった。
たとえ、死が間近まで近づいていても、彼はまだ死んでいない。
それを望むのはまだ早すぎる。
しばらくは、それに着いていくことはして欲しくない。
「あ」と、彼は言った。
十二ゲージの散弾が、彼の脳天を貫いた。
私は、その一瞬で理解した。
もう、何もかも必要がなくなったと。
8/9/2023, 10:18:54 AM