しらたま

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「さぁ、愛と平和について語らいましょう。」

重い重い、と俺は天を仰ぐ。
楽単だ、って先輩に聞いたから取ったこの講義。
出席票代わりの感想用紙さえ出せば、別の作業してても良いのはありがたい。がしかし、いかんせん教授の胡散臭さがむずがゆい。
曇りなきどころか更地みたいな、まっさらな瞳が学生たちをさらっていく。
俺は目があわないように、そっと左斜め前に座る女子の頭に視線を逸らした。
綺麗なつむじ。…なんか変態っぽい。今のは無し。

愛がなんだか、俺みたいな若造にはまだ語れないけど、平和ならわかる気がするよ。
今、こういう時間でしょ。
これが当たり前じゃないことを、忘れないようにするところまで含めてさ。

用紙にどう上手く書こうか考えているうちに、つむじの彼女だったら何て回答するのか、ちょっと知りたくなった。

『愛と平和』

3/10/2023, 1:12:01 PM