寸栗睦栗

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「部屋の片隅で」

四季が巡る度、この部屋を少しばかり色付ける。
貴方は気付いているのか、いないのか、もはや今となっては、どうでもよいことに思えてしまうのです。
最初は、貴方がたまたま貰ってきたのだという、真っ赤なチューリップ。
次は、私の誕生日に、慎ましやかな向日葵。
その次に、貴方へ、鮮やかな秋桜。
少しして、可愛らしいシクラメン。
ずっと、ずっと、片隅を共に色付けていました。
大切に、慎重に、枯れないように、朽ちないように。
だけどいつしか、貴方が色付けることは、なくなりました。
私ばかりが、縋ってしまっているのでしょうか。きっと、そうなのでしょうね。
それでも、この片隅に咲く思い出が、その色を失う時までは、きっと大丈夫だと言い聞かせるのです。私と思い出たちは、一心同体。枯れないように、朽ちないように。

12/8/2023, 8:34:32 AM