一尾(いっぽ)in 仮住まい

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→短編・お土産品

 宇宙旅行から帰ってきた友人からお土産をもらった。小瓶詰めの宇宙。宇宙旅行といえばコレ、と言われるくらい定番のお土産品。
 小瓶の中を薄いベージュ色の気体がほわほわと行き来している。もちろん中身は宇宙ではなく、宇宙線をギュッと圧縮した疑似宇宙だ。
 日当たりの良いところに1日置いておくと、宇宙塵、素粒子やら重力が発生し銀河ができる。もちろん星も。
 可愛らしいミニ宇宙は1週間ほど膨張し続け、最終的に星が超新星爆発を起こしてブラックホールになる。そうなると小瓶は光を通さない漆黒に満たされる。やがてブラックホールは収縮し、小瓶の中から全てが消える。
 ロマンを誘うよくできた土産物だと思う。

 噂では、ブラックホールの収縮消滅の際、一瞬だけブラックホールが真珠玉のような光を瞬かせるらしい。それを見たら幸せになれるとか。
 今まで何度も挑戦しているけど、一度も成功したことがない。
 光と闇の狭間での刹那の光、見てみたいなぁ。

テーマ; 光と闇の狭間で

12/3/2024, 3:31:33 AM