早苗「ショーゴくん。来年は僕らの卒業式だぞ。一年後の僕らはああなっているんだと思うと驚かないか?」
翔吾「どこに驚くところがあるんだよ?」
早苗「いや、いや。よく考えてみてくれたまえ。君と僕はおそらく別の大学へいくだろう? だとしたら、あの人たちみたいに『連絡するよ』とか『夏休みに会おうね』とかそんな話をしているんだよ。驚くべきことだと思わないか? この二年間ずっと一緒にいる僕らが、だ」
翔吾「別にこの二年間ずっと一緒だったわけじゃねえだろ。文理選択は違うしよ」
早苗「そうだけどそうじゃなくてだな……!」
翔吾「じゃあなんなんだよ?」
早苗「僕ら毎日連絡とか取り合わなかっただろう? 電話もあまりしないじゃないか。それなのに連絡を取り合って日にちを決めて、会う予定を立てて遊ぶようになるんだぞ? 変な感じがしないか?」
翔吾「……」
早苗「想像できたかい?」
翔吾「……言ってもいいか?」
早苗「うん?」
翔吾「なんかお前がうちに転がりこんで住んでるのしか想像できなかった」
早苗「……流石に私はそこまで神経図太くないぞ」
翔吾「かもな。でも、多分来るだろ。合鍵渡したら」
早苗「……そう、だね。そうかもしれない」
翔吾「ま、まず俺たちは一年後にきちんと卒業できるか心配したほうがいいだろう?」
早苗「それは、そうだね」
5/8/2023, 2:38:38 PM