椋 muku

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雪の日が続く冬に珍しく晴天の日が訪れた。これも「サンタ」という奴からの贈り物なのだろうか。

「あーあ、今日も学校かよ。本当、俺たちついてねー」

「んなギャーギャー喚くなよ。そんなこと言ってられる歳じゃないんだから」

コイツの言う通り、クリスマスという祝日にしてもいい並のイベント当日に出校日なんて我々の先生も相当鬼である。私たちが直談判したとて

「半日で済ませてやってることに感謝して欲しいくらいだわ。受験生なんて24時間勉強詰め込まねぇと」

なんて意味の分からない圧力とニヤニヤと気味の悪い笑顔でノックアウトは目に見えている。
さて、話は変わりクリスマスといえばやはりサンタ。もちろんサンタという第2の名を持つ両親からのプレゼントを貰った奴らは多くいた。中には恋人を頼んだとほざいている奴もいた。私はもう長いこと両親からのプレゼントは貰っていないが年を重ねる度にそれも少し寂しいような気もする。

「あー、そうだ。メリークリスマス。ほれ、前に言ってたゆずのハンドクリーム」

「あぁ、貰う前からネタバレくらってたから感動は少ないな。でも今年は虚しくはないな、あんがと」

以前コイツが私のために選んでくれたハンドクリーム。コイツがこれをつけろってうるさいから私は好きなラベンダーの匂いでさえ愛用することができていない。

「そう言うと思って、本命のプレゼント。ほい」

「ん、さんきゅ」

それは何やら丁寧に包装されたものだった。好奇心に負け開けると、そこには凝ったデザインのネックレスがあった。

「えー、ネックレス!?アクセサリーなんて尚更珍しい」

「だろ?いや、俺これみた時ビビッときたんだよ。これ、お前に付けたら似合うだろうなって」

平常運転でたらし発言を連発するコイツ。そんでもって女心は鷲掴みにするくせに女に興味が無いのがコイツ。女なら完全に堕ちてんのに。

「にしてもデザイン凝ってんなー」

「そそ。俺の思いがこもってる大事なデザイン。これ取り入れたデザインに色々と意味込めたんだけど聞かれるのは恥ずいからパスで」

コイツが照れるのは珍しい。一体何があるというのか。気になったのは事実だがどうやらコイツがいないところで調べた方が良さそうなことだとは察した。

「今日はそのまま直でお前ん家行くわ」

「そう。クリスマスだからケーキ買ったし。食べる?」

「お、いいね。俺チョコが良い。そんでお前に食べさせてもらいたい♡」

「お帰りください」

「冗談だって笑」

今日もいつもと変わりない。何の変哲もない水曜日。だけど、今日は2人でゆっくり過ごす。たったそれだけの事を幸せに感じてしまう。

題材「クリスマスの過ごし方」

12/25/2024, 1:31:49 PM