霜月 朔(創作)

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願いが1つ叶うならば



夜の帳に身を潜め、
君と交わした、秘密の誓い。

この想いは、炎のように、
燃えてはならないと、
知りながらも、
消すことなんて、出来なかった。

指が触れた刹那、
胸を裂くような、疼きが走った。
刹那に溺れていた、
遠い…過去。

そう。
今の私には、もう、
恋人の腕に眠る君を、
遠くで見詰める事しか、
出来ないんだ。

叶うならば、
もう一度、この手に、
君を抱き締めて眠りたい。

君が私を、
寂しさを埋める止まり木として、
求めてくれた、あの頃。
君に溺れながら、
夜明けが来なければいいのにと、
何度願ったか、分からない。

けれど、朝日は残酷で。
君は、振り返る事もなく、
"正しい"場所へと、
帰っていった。

だから、願いが1つ叶うならば。
どうかこの恋を、罪ではなく、
愛と呼ぶことを、赦して欲しいんだ。


3/10/2025, 5:10:30 PM