喜村

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 流れ行く人の波を座りながら見ている。
どうして、私はここにいるんだろう、と。
 本日は同人即売会。自分の作った新刊を持って、丹精こめて作った創作物。
 しかし、だれも足を止めない。きっと売上はゼロである。

 それでも私は、即売会に出続ける。
 心の羅針盤の示す通りに。

 何のために、この活動をしているのか、自分の心に問いかける。
 作っていて、楽しいから。好きが詰まった物を形として残したいから。
あわよくば、誰かに読んでもらって、誰かの心にささってほしい。
 真面目に誠実に活動をしていれば、誰かに私を知ってもらえるはず。
 それが私の心の羅針盤が示している。

 今日は誰にも買ってもらえなかったな、足さえ止めてもらえなかった。
 敷布を畳み、長テーブルの姿を見ながら思った。
 でも、私は心の羅針盤に従います。


【心の羅針盤】

8/7/2025, 8:29:00 PM