五味川純

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狭い部屋

私は、1980年東京で暮らす最も不幸な青年の1人であった。私はコンピュータの仕事をしていたが、コンピュータの知識はなかった。また知ろうともしなかった。私は自分の仕事を軽蔑していた。いまだに思い出すのは、壁に吊るしていた何本かのネクタイである。朝、私がネクタイを取ろうとして手を伸ばすと空腹のために倒れた。私は毎晩、失望・悩み・苦悩を抱えて孤独な部屋に戻ってきた。今思うと、狭い部屋は私にとって貴重な経験だった。自分の弱いところを知って、それを克服するためにもがき苦しんだ。自分の居場所が見つからない若者たちに、私の経験が少しでも参考になればと思う。

6/5/2023, 4:03:51 AM