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麻袋のなかで蛇がとぐろを巻いていた。玄関を出て道路までの窮屈な庭に、母が所狭しと植物を植えている。通り道を塞ぐように根っこに土がたっぷりついた草達が並々に入ったそれを足で跨ごうとしたところで、目があった気がした。ズザズザズザザザ‥‥‥ゆったりと麻袋の擦れる音がする。奥へと入り込んでいくその尻尾の先をじっと見やる。何年か前に畦道で蛇の交尾を見た。絡み合いながら体の半分は宙に浮いていて、その筋肉に驚愕したのだった。道路際の花壇の、水やりしたあとの草花の葉先から雫が滴る。気付けば靴が濡れていて、なんとなく、蛇が靴を這っていくところを想像してみる。蛇に滅多に出くわさないものだから、あの袋を突付いて蛇が飛び出すところを見てみたい心がそうさせた。

4/21/2023, 2:47:07 PM