Noname

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あの時、透明なきみをみつめてた。涙をながす、きみをみた。でも涙もきみも透明だから、だれも気づかなかった。気づけなかった。でもこえもめせんも透明だからきみがいることすら気づけなかった。だから、きみが死んだのを知ったのは、葬式がある二日前だった。

真っ白の棺できみが眠っているらしい。
たくさんのお花を添えて火葬した。
さよなら顔も知らないきみ。
でも、後悔があるとしたら「あの時」、
きみがきみが僕をどう思っていたか。
あいして、くれていたのか。
それが知りたかった。

さよなら、美しききみ。
さよなら、わたしの愛したきみ。
さよなら、透明なきみ

5/21/2024, 10:46:00 AM