郡司

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「また会いましょう」…私は自分がこのような言い方の挨拶をしたことがあったかどうか覚えていない。
「じゃ」「またね」のような、近いうち、あるいはそう遠くないうちの再会に間口を開いておくだけのニュアンスの、短い言い方が多い気がする。「また会いましょう」という言葉は折り目正しく、私の感覚では仕事のなかか、礼節を必要とする関係性でなければ鄭重に過ぎてしまって、要らぬ距離感を醸してしまう気がするからだ。
「お前が言うと圧が高い」とか、「どうした改まって」とか、まあ総じてよろしき反応を得られないのだ。
声のトーンや質による印象なのかもしれない…

アニメ「アタシんち」のOP曲の歌詞に、「また会いましょう」が入ってる。そちらはとても良い感じの「また会いましょう」なのだ。聴くとちょっとだけ気持ちがほっこりする。…この違いは何だろう。「じょおねっつの、あっかいば~ら~」と、お母さんが歌うからだろうか?

清々しい「また会いましょう」
わくわくする「また会いましょう」
ほっこりする「また会いましょう」
プレッシャーを感じる「また会いましょう」

書いていて思ったが、「また会いましょう」という言い方は、けっこう強い約束のような響きがあるかもしれない。そして、ほっこりするときには、「縁のつながりが保持される嬉しさ」があるのだろうと思う。

遠くにある縁者に「また会いましょう」
なかなか会えない友に「また会いましょう」
人生を完了した大切な人達に「また会いましょう」
そして、ともに生きて行きたい人に「また会いましょう」

この世の現実のなかでは、自分を独りだと思いがちだ。「また会いましょう」という、ふんわり約束しているようなやりとりは、思いのほか力強いのかもしれない。

11/14/2023, 8:42:27 AM