300字小説
リベンジマッチ
子供の頃のクリスマスイブ。プレゼントが嬉しくて眠れないほど興奮していた俺はサンタに会った。
「おわっ!」
置いたプレゼントに飛び付いた俺に驚いたのは、まだ若いヒョロリとした青年だった。
「……見られたぁ」
新人のサンタだったらしい。俺は落ち込む彼を慰め、元気つけ、再び星空に飛び立つ姿を見送った。
「……彼か」
サンタへの手紙。欲しいプレゼントが書かれた便箋に、添えられた便箋は昔、新人の僕を見てしまった男の子からだった。
「彼も父親か」
『息子には見つからないようにしてくれよ』
思わず苦笑する。
「もうベテランだよ。よし、リベンジマッチだ」
僕はニヤリと笑うと彼の息子さんのプレゼントに、彼の枕元に置くワインを添えた。
お題「眠れないほど」
12/5/2023, 11:45:13 AM