『君と見た虹』
それは虹。
これから君がわたる虹。
私はわたれない。少なくともいまは。
いつか必ず私も行くから、そのときは忘れず迎えにきてほしい。君は私の、可愛い末の妹だった。
これまでもこれからも、私を君の姉でありつづけさせてほしい。
何も云わずに君は丸まった尾を幾度も振った。
ぴんと立った凛々しい耳が私の声を聴いていた。
そこにない、眼に見えない、虹の橋を、そして君はわたっていった。
柴の姫。
迎えにきてよ、必ずだよ。
忘れないで忘れないから。
2/22/2025, 11:20:59 AM