Open App

好きな人ができた。恋愛など全く関わってこなかった人間に、高校生になって初めて好きな人が出来た。今まで好きな人がいる子から聞いていた、「好きな人が1番かっこよく見える。」とか「好きな人がすることは、よっぽどじゃなけりゃ可愛くてかっこよくてしかたない。」とか言うことの意味がやっとわかった。本当にその通りだ。ああ、あの時みんなを心の中でバカにしていた私を、今すぐにでも殴らせてくれ!
そんなことを思っていると、いきなり親友が私の机に来てちょっかいをかけてきた。
「ヨシのこと好きなんやろ〜?告白せんのか?」
「お前みたいに軽ない。」
ピシャリ、とその親友の言葉を遮った。親友は行動力が凄くて、好きになったら即行動する様なやつだ。羨ましい。だいたいそれで結ばれる親友のことが妬ましい。今すぐにでも、頭にチョップを入れてやりたいほどだ。
「うちやって軽ないわ。アホ。どうせ羨ましいとか思っとんやろ。そう思うぐらいなら、行動しいや。」
「できんからこうやって、グチグチ言ってんの。ちょっとは分かればいいやん。」
「すまんな、お前みたいに理解力がなくて!」
毎日のように喧嘩をして、毎日仲直りをして、毎日2人で部活をちょっとサボる。仲良くないと言われれば、そうかもしれない。
「あ、ヨシ。」
親友の言葉に反応して、教室の前のドアをみる。ヨシは、いつも必ず前から教室に入るのだ。悪い目を凝らして教室の端から見ると、やっぱり、ヨシがいた。かっこいい。好きだ。本当に好きだ。今すぐにでも告白してしまいたい。そんな勇気は無いけれど。
「好きだわ。」
「それ本人の前で言えや〜。」
無理、と笑いながら呟いた。いつかはきっと告白するのだ。振られてもいいからするのだ。しないと後悔するのだから。
嫉妬や、嫌な気持ちや、好きって言う気持ちにまみれて私は高校生活を謳歌する。多分、きっと、この溢れそうな、溢れる気持ちが恋なのだろう。

2/6/2023, 10:13:14 AM