あいつは悪い奴だ、悪魔みたいな奴だ
人を殺すのは悪いと決まっているのに
罪悪感なくやってのける
あいつは駄目な奴だ
悪と言えばあいつだ
だから僕はあいつを許さないんだ
彼はまだ若いんだよ
だからこの世の理で善悪の判断をする
彼の瞳を見たかい
生きる希望に満ち溢れて
濁りがない
あんな人間が、この世にあと何人いるだろう
あいつは妊婦を殺した
あいつは老爺を殺した
あいつは、何人も殺した
なのに誰も何にも言わない
それどころか泣いて悦ぶ奴さえいる
みんな頭が狂っているんだ
うん、狂っているね
ただ、狂いを指摘する人間がもういないんだ
だから狂いが狂いとして認められない
おかしいだろう?
私もそう思うよ
でも仕様のないことなんだ
あいつの元に、人が来た
「殺してくれ」と頼んでいた
僕は必死で止めたけど
手を振り払われてその人は死んだ
励ます僕を睨んだ鬼のような形相が
ずっと、消えないで残っている
この世界もおかしいよ
君がきっと、正解なんだよ
ううん、間違いはないよ
間違いを選ぶように、作られてはいないからね
君のどんな選択も、それは間違いではないよ
正解にたどり着くまでの回り道だ
それで、
正解は見つかったかい?
お題『善悪』
4/27/2024, 1:07:17 AM