NoName

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ざあざあ、と波が打ち寄せてくる。足先に触れた冷たい水の感触に身を震わせて、後ろへと一歩だけ退けば柔らかな膨らみが背中に当たった。控えめな笑い声が耳元を擽る。
「かわいいね」
そっと囁かれる戯れに、私は唇を尖らせて不満を訴える。
「少し驚いただけ」
「本当に?」
「本当だってば」
彼女はまた控えめに笑って、私の横に並んだ。耳元に顔を寄せてくる。
「怖くない?」
「一緒なら怖くないよ」
「アタシも」

4/21/2025, 2:27:31 PM