NoName.

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heart to heart


「………えーっと、意味はー……」
俺はHの項目を指でなぞり、辞書を開く
eの項目を目で辿っていた時、
「あのセンコーめんどくさい宿題出すよなーホント。」
横からアイツが口を出してきた。
「何だよ、お前はもう全部調べ終わったのかぁ?」
「あたりめーだろー。コレがあるんだからさー。」
と、アイツは自慢げにスマートフォンを見せびらかす。

「必要なら貸してやろうか?」
と、半ば心配してなのか声をかけてくる
「いや、いい。」
対抗心もあっていつも通りに断る
「いつもそうだよなー。スマホで見ちまえばはえーのに。」
「いいだろ別に、こうやって紙触ってるの、好きなんだよ。」
アイツをみていた視線をまた、辞書へと辿らせる。
aの次は、と
「あーっそ。ま、早く終わらせてくれよー。この前のゲームの続きしたいからさー」
「先に始めてろよ」
適当にいつもと同じくあしらう。

rtと見つける。揃った。
これだけだと別の意味になってしまうから、
表現の例文を探してみる。

「……。」
“腹を割って話す”

見つけた言葉を解答欄へ記入していく。
「なぁ、まだぁ??」
アイツがまた飽きてきたと言わんばかりに声を上げる
「うるせーなぁ。今半分だよ」
「はぁあ?遅すぎ、俺のプリント見せるから書き写せ」
「勝手なことすんなよ、やるわけねぇだろ」
と、ドタバタと小競り合いをする。

まだ、俺たちには関係のない言葉だなぁ、って何となく感じた。

2/5/2025, 3:44:03 PM