月灯り

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「またいつか」

またいつか君に会えたなら、
次は伝えられるだろうか。

君のことが好きでしょうがないと、
勇気を出すことができるだろうか。

でも、それが出来たら今頃は
君にこの想いを伝えていると思い、
きっとこの関係が、
この先も続くのだろうと思った。

また会えたら。
いつか再会することが出来たなら。

勇気を出してみようか?
そんなことを考える前に、
体を動かして君のもとへ走る。

東京行きの列車に乗ろうとする彼女を見つけて、
彼女の名前を叫んだ。
恥ずかしさに思わず顔を俯けながら伝える。

「ずっと好きだった!東京に行っても忘れないっ!またいつか会えた時に、返事を待ってる!」

そう言って顔を上げたとき、
涙を流している彼女と目が合った。

そんなに嫌だったのか?
僕に好かれていることが、そこまで嫌なのか?
伝えなければよかったと後悔しかけた時、
彼女が駆け寄ってハグをしてきた。

「そうだね。またいつか、いつか。きっと戻ってくるから。その時も、まだ好きでいてくれる?」
と、彼女は涙を流しながら僕に伝える。

そんな彼女を優しく抱きしめて僕は、
「いつか、また会う時に話をしよう。約束だ。」
と言葉を伝えた。

彼女は涙を拭きながらまたねと列車に乗り込む。
そんな彼女を見送ってから、家路に着く。

もうそろそろ家に着くと言う時に僕は倒れ込んでしまった。
さっき走り過ぎたせいだろうか、咳が止まらない。

結核とは、なんと残酷なのだろう。

彼女との約束、彼女との思い出、彼女との言葉。
思い出しているうちに涙が溢れて止まらなかった。

だんだんと、体が動かなくなるのを感じる。

彼女が好きだ。
笑った顔が好きだ。
怒った顔も好きだ。
困った顔も好きだ。

愛情深いところ、心配性でお節介な所、
やると決めたらとことん打ち込むところ、
全て、ひっくるめて好きだ。

大好きなんだ。

またいつか会えたなら。
次も好きだと叫びたい。

またいつか逢えたなら、
今度は、君のために生きたい。

また、いつか逢う日まで、さようなら。

7/22/2025, 1:26:15 PM