(お題:お祭り)
バン、と1回音がして、真っ暗な空に赤い花が咲く。
そうして夏祭りの最後を飾る花火が終わりを迎えた。
ぞろぞろと祭りに来た人達が帰って行くのを横目で見ながら、私はもう何も打ち上げられない空を眺めていた。
「お祭り、楽しかったね!ねぇ、また来年も行こうよ」
ふと、隣からそう声をかけられた気がしてそちらに目を向ければ、そこには誰もいなくって、ただ静寂が広がっているだけだった。
去年までは、隣にいたはずの存在。花火が終わった後、彼女が言うお馴染みの言葉だった。
「……おまつり、」
また、いっしょにいこう。
二度と叶わない約束を、きっと私は来年もこの場所でするのだろう。
7/29/2024, 4:49:44 AM