狼は言った。「満月よりかけている方が好きだと」
狼は知っていた。自分に剣の才は無いと。
狼は諦められなかった。狼の父との最期の約束の為に
狼はやめた。真っ当なぶつかり合いをする事を。
狼は餓狼となった。狼はその狂気的なまでの攻撃性と狼の人柄を表す様な曲刀が故に故郷で広く知られた。
狼はそれでも飢え渇いていた。まだまだ足りないと言わんばかりのその姿は悪魔でさえ飲み込むのではというまでの悪食であった。いつしか父に教わった剣技は泡沫へと消えただ狼の飢えを潤す為の剣技となった。
その名は一国に知らぬものはいないほどに広まった。
だが狼はまだ満腹ではなかった。1人で飢えるように鍛錬や手合わせを繰り返しやがて誰よりも強き剣士となった。その孤独で猟奇的な行動から人々は狐狼と呼んだ。けれど狼も衰えには逆らえずその剣術の腕は半分までに堕ちた。しかし狼の強さに憧れてやがて力を欲した小鳥たちが集まる大樹へと狼はなった。飢えた小鳥たちに自分の知識と技術の実を授け狼の名は永遠と語り継がれた。誰にも教わらず至った最強の狐狼。
狼の名は村雨と言った。
お題誰よりも、ずっと
この物語はフィクションです。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
4/10/2024, 2:32:19 PM