無音

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【76,お題:放課後】

放課後、西日の眩しい教室で 私は彼を見つけた

半透明に透けた体 どこか物憂げな表情で
いつものようにくしゃっと顔を歪めて困ったように笑う

「なんで...?」

「千夏...おれ、死んじゃった...」

ごめんねぇ、力なく笑いながらポロポロ涙を溢す
生前と何ら変わらない姿の、私の幼馴染み

なにも言えない、突然行方不明になってようやく会えた時には
すでにこの世のものではなくなっている、なんて

「千夏...?」

言いたいこといっぱいあったのに、君がいない間どれだけ心配したかとか
どんなことがあったとか、なんで...こんな

「...ッ、こんなのってないよ...」

ボロボロ涙が溢れて止まらない
ぶん殴ってやろうと思った手は、虚しく空を掻いて
もう彼は死んだ、この世に存在しないって無理やり理解していくようで

「...ごめんね...」

もう一度彼が言った、西日の差す教室に小さな嗚咽がこだましていた

10/12/2023, 10:25:00 AM