【たまには】
ふと有意義な休みを過ごそうと思う木曜の午後。
金曜に家路に着き、翌日の予定を立てる。
以下は私のとあるたまにはの日である。
7:00起床
なぜ私は休日に早起きをしているのだろうか。早速昨日の私に苛立ちを覚えながらも、ここで起きなければ台無しである。起きる。
7:15散歩
身支度を整え軽く散歩へ。
日差しが眩しくも、咲き乱れる花たちに颯爽と挨拶をかます。犬の散歩の人たちともすれ違う。可愛らしい犬に癒される。
8:00朝食
帰宅し朝食の準備。平日はさっさと済ませるが、今日は有意義な日なので、いつも食べない和食を準備。昨日ほぼ用意する。白米、みそ汁、納豆、魚、ヨーグルト。食後のコーヒー付きである。
10:00お出かけ
諸々済ませお出かけである。精一杯のおしゃれをし、田舎なので車でショッピングモールに向かう。
欲しいものに目星を付け、ウィンドウショッピングも実施。スタバに行きたいが無駄遣いは控える。今日は無駄遣いの日ではない。有意義な日だからである。
12:00昼食
何にしようか惑う。昼食は決めていなかったからである。いい天気なので持ち帰りをして公園かそこらで食べようと思う。マックに特別感はない。よし、モスバーガーである。モスバーガーを手にした私は公園へと向かう。しかしここでひとりであることに寂しさを覚える。公園では家族連れやカップルがうじゃうじゃしており、一人の私は目立つ。だが私は屈しない。今日は有意義な日なのだ。気にせずモスバーガーを頬張る。おいしい。
13:30本屋
文豪作品を好むようになった私は本屋へと向かう。本は昔から好きである。並んでいる新書を見ながら、目当ての本を探す。今回は志賀直哉と菊池寛である。いつか本棚を文豪の作品で埋め尽くしたいとの欲望を持つ。いいものは語り継がれている。だからこそ価値があるのだ。古いから良くない、新しいから優れている訳ではないのだ。
15:30帰宅し一服
一服といってもタバコではない。甘いカフェオレを飲み、買った本を少々読み進める。できれば畳の上でこたつにでも入りながら読みたいものだ。まだ見ぬ喜びの未来を頭に思い描く。うたた寝をしつつ、優雅な時間を満喫するのである。
18:00夕食
夕食である。腹が減っては戦は出来ぬので、私は昨日から仕込んでおいたチキンでバターチキンカレーを作る。我ながら美味である。昨日の私の仕込みのお陰である。流石昨日の私よ。
19:30お風呂
薄汚れた身体をきれいに洗い流す。温かな湯船にじっくりと浸かり、いつもの疲れを癒しにかかる。鼻が喜ぶ匂いの入浴剤も相まって、私は温泉にでも来たような心地である。ここは城の崎である。目は開けない。そこには狭い現実が待っているからである。
21:00映画鑑賞
一日の締め括りは好きな映画である。今日は和風で来たので、映画も邦画を観ることとする。悩んだ末に小津安二郎を選択する。いつも家族を描く小津映画は、寝る前の私に心地よい安静な状態へと導いてくれるのだ。いずれにしても私は小津が好きである。私は隠れて小津ちゃんと呼んでいるのだ。
23:30就寝
有意義であった。一日の振り返りをしつつ、私は温かい布団のなかで幸福な情景を思い浮かべる。いつも忙しなく働き、どうでもいいことに考を捧げている。未来への不安も今日は忘れよう。おやすみ。
たまにはこんな日もよかろう。
大した日ではないが、私にとっては大した日である。
3/5/2024, 1:06:21 PM