『あの日の景色』
小さい時、母が漕ぐ自転車の
後ろに乗っていた景色の中で、
夜風共に揺れながら
いつまでも追いかけてくる月を
不思議に思いながら
見ているのが好きだった。
私の家族は大人数で
母はいつもいつも忙しそうに
目まぐるしく動いていた。
その上、兄弟が年子だったから
一番下の私の相手をしている余裕もなくて
唯一、買い物に行く時にだけ母と二人。
自転車に夜風に揺られながら、
今日の月はどこまで追ってくるんだろうと
母の背中にしがみつきながら考える時間が
小さな私の思い出。
7/8/2025, 3:06:46 PM