約束だよと父に言っても、
なんで俺なんだと言って、
年季あるウイスキーを眺めながら
缶ビールを飲んでいる。
約束だよと母に言っても、
お前と約束できる人としなさいと言って、
洗濯かごとゴミ箱と包丁をバンバンと鳴らして
口からクソを漏らしている。
兄弟もいたと思うが、
血を分けていたはずなのに
手を繋いだこともないから、
約束の指切りさえもできない。
祖父も祖母もどっちも死んだ。
仕方ないから、私のアニムスと約束をした。
いつか、一族の終の花となって散ろうね。
アニムスは嫌だよ死にたくないよと泣いている。
誰も私と約束をしてくれないから、
自分の小指を全部摘んでねじって
砕いて潰して引き千切って叩きつけた。
白い指から赤い肉が花のように散っている。
(050603 約束だよ)
6/3/2025, 12:42:51 PM