鶴づれ

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もしもタイムマシーンがあったなら


「ねぇ、もしタイムマシーンがあったら、どうする?」

 下校中、突然親友が変なインタビューみたいなことを聞いていた。
「いきなりどうしたのさ」
 私の戸惑いなんか無視して、親友はあっけらかんと笑う。
「いいじゃん。ほら、色々あるよ。過去に行く?未来に行く?そこにいる人になにかする?ただ見てるだけ?」
 いつもの倍は体を近づけてくる親友に、目線を合わせず答える。

「…いや、乗らない。未来はこれからの楽しみに取っておきたいし、過去を変えれば絶対どこかが歪んじゃうから」
「え〜!見るだけなら?」
「興味ないかな」
「冷めてるね〜」

 淡々と答えた私を、親友は面白そうに見る。

「でもさぁ、私、何回も見てるんだよね」
「何を?」

「過去に入り浸った私を、迎えに来る君だよ」

 親友の瞳が、愉快そうに細められた。
「過去の君といる私が、一番幸せなのにね」

「ひどいね、未来の君は」

7/23/2023, 3:12:43 AM